組織変更に対応する

パターンクラスター

経営管理システムにおいて組織変更への対応は重要です。一方で、組織変更への対応は場当たり的になりがちで、その都度その都度、泥縄式に行われる場合もあります。fusion_place には、組織変更への対応を秩序だって行うために役立つ種々のメカニズムが組み込まれていますが、効果的にそれらを使うにはアプリケーションのデザイン面で配慮が必要です。

当パターン・クラスタ-には、組織変更への対応を、円滑に、過剰な負担なく実施できるようなデザインを実現するパターン群が含まれます。パターンは、いずれも、状況に応じて選択可能です。

組織ディメンションと画面/帳票を同期化する
  • 伸縮する軸 フォームを使用すれば、組織変更を反映して縦軸と横軸が自動的に伸縮する画面や帳票を作成できる。

過去の組織ツリーでの集計レポーティングを可能にする

以下の2パターンは、同じ問題に対する異なるアプローチです。年度別メンバーツリー の方が洗練されていますが、旧年度アプリケーション の方がシンプルであり、要件が適合する場合は運用の手間も少なくて済みます。後者で済むのであれば後者の選択を検討しましょう。

  • 年度別メンバーツリー 組織変前の組織ツリーと変更後の組織ツリーの双方でリーフ部門のデータを集計しレポーティングできるようにする

  • 旧年度アプリケーション 旧年度の組織に従ったデータ照会のために、適切な時点のアプリケーション・バックアップをもとに、旧年度の実績管理のためのアプリケーションを提供する

年度別メンバーツリーを用いた場合の権限範囲を設定する

以下の2パターンも、同じ問題に対する異なるアプローチです。年度別の業務責任単位 の方がシンプルであり、要件が適合する場合は運用の手間も少なくて済みます。一方で、一般ユーザーの視点からは、業務責任単位の選択という余分な判断を要求しないという点で 権限範囲指定メンバー が望ましい場合もあり得ます。

  • 年度別の業務責任単位 「年度別メンバーツリー」を適用する場合、集約レベルの部門については、年度のツリーごとに異なるメンバーを設ける。このとき、集約部門に対応する業務責任単位も年度別に設ける

  • 権限範囲指定メンバー 「年度別メンバーツリー」を適用する場合、集約レベルの部門については、年度のツリーごとに異なるメンバーを設ける。このとき、集約部門に対応する業務責任単位は年度別に分けなくて済むようにする

当年度組織ベースで前年対比をおこなう

組織変更があった場合に、当年度組織ベースで前年対比を行うには、単に、組織変更前と後の組織ツリーでそれぞれデータを積み上げることができればよいというわけではありません。一部のリーフ部門について分割や統合が生じている場合などでは、リーフ部門ごとに前年対比する上でも工夫が必要です。加えて、リーフレベル部門の前年値と当年値を新組織ベースで積上げて集計部門レベルで対比するには、前年値の組替が必要になります。 このように、当年度組織ベースで前年対比をおこなうには、ある程度の複雑性が運用に持ち込まれます。一方で、いったん予算ができれば期中の実績管理では予算や見込との対比が主軸となるために、前年対比は重視されない組織もあります。そうした組織では、前年対比に手間をかけるのは見合わない可能性もあります。こうした点も考慮して対応方法を決定されることをお勧めします。

  • 対比用集約メンバー 組織変更でリーフレベルの部門が統合された場合、統合前の旧部門の合計値と統合後の新部門値を対比するためのダミーメンバーを設けることで、新部門ベースでの前年対比を行える。部門が分割された場合にも、同様に、分割後の新部門の合計値と分割前の旧部門値を対比するためのダミーメンバーを設けることで、旧部門ベースでの前年対比であれば行える。

  • 対比用前年値シナリオ 組織変更でリーフレベルの部門が分割あるいは統合された場合、新組織ベースで前年対比するためにデータの組替を行うことで対処する。そのために、リーフ部門に関して組織変更前のデータとは別に組替後データを保持する。新組織ベースのメンバーツリーで組替後の前年度データを積み上げれば、集計レベルにおいても新組織ベースで前年対比が可能になる

  • 対比用前年値データ種別 対比用前年値シナリオと同様、組織変更による組替後データを保持するが、保持にシナリオではなくデータ種別を用いる。シナリオを用いた方が直観的に理解しやすいと思われるが、データ種別を使用することで前年値のドリルダウンが容易になるというメリットがある。