増減データの管理

設計者 管理者
バランス勘定について増減内訳を把握・保持する必要がない場合には、このトピックを読み飛ばして頂いて差し支えありません。その場合、「 勘定科目と増減科目―増減科目を使う必要がない場合には」をご参照下さい。

fusion_place では、「増減科目ディメンション」を用いて、バランス勘定の増減内訳データを的確に管理することができます。ここではその機能内容についてご説明します。

増減科目ディメンションの概要

増減科目ディメンションは、内容の大枠があらかじめ設定されています。具体的には、ルートレベルに以下のシステム予約メンバがあらかじめ登録されています。元帳では、これらシステム予約メンバの値の整合性は自動的に確保されます。

システム予約メンバ 入力可 意味・内容

前期末残高
(#PREV)

前期の「期末残高(#END)」の値。いつが「前期」に該当するかは、指定された期間と表示形式により自動判定されます。

期首差額
(#BDIFF)

期首残高と前期末残高の差額。

期首残高
(#BEG)

当期の期首残高。

当期増減
(#CHG)

当期増減値の合計。メンバ「当期増減」の下に、当期増減値を区分把握したい単位でメンバを設定することができます。メンバは複数階層となってもかまいません。

累計残高
(#CBAL)

期首残高+当期増減。

期末差額
(#EDIFF)

期末残高と累計残高の差額。

期末残高
(#END)

当期の期末残高。

当期純増減
(#NET)

期末残高と前期末残高の差額。

なし
(#NONE)

バランス科目・非数値科目については、期末残高、
フロー科目については、当期純増減。

※ 入力可否は通常元帳でのバランスデータの場合です。その他のデータタイプ、および 注記元帳 における入力可否は、下記 データタイプごとの増減科目入力可否および算出条件 をご覧ください。

ユーザがメンバを登録できるのは「当期増減/#CHG」の配下のみです。「当期増減/#CHG」は入力不可ですが、その子としてユーザが登録したメンバは入力可とすることができます。

勘定科目と増減科目の組み合わせに基づくセル値の入力可否判 定および算出条件の詳細については、 データタイプごとの増減科目入力可否および算出条件 をご参照ください。

増減・残高に関する留意事項

fusion_place の元帳での増減・残高データは、通常の会計システムとは異なる特長を持っています。以下にそれをご説明します:

(1)増減と残高の関係

fusion_place の元帳では、当期増減と当期末残高は連動していません。通常の会計システムの元帳では、当期末残高=当期首残高+当期増減です。ですから、当期末残高を更新するには必ず当期増減を更新する必要があります。これとは異なり、fusion_place では、両者は別々に更新できます。「当期末残高 - 当期首残高」と当期増減が一致していなければ、差額が「期末差額」として表示されます。

このような仕様としている理由は以下のとおりです:

  • 経営管理データ処理では、増減データが必要なバランス勘定は通常限られています。残高だけで十分なバランス勘定については、増減データは入力しなくとも良い仕様の方が業務のニーズに即しています。

  • 増減データが必要な場合でも、増減と残高は別々に取得・入力される場合が多いと思われます。したがって、両者を別々に入力でき、事後的に整合性を確認できる(「期末差額」を用いて)仕組みの方が便利です。

(2)前期末残高と当期首残高の関係

fusion_place の元帳では、前期末残高と当期首残高は別のデータです。通常の会計システムの元帳では、前期末残高と当期首残高は同じです。これとは異なり、fusion_place では、両者は別々に更新できます。両者が一致していなければ、差額が「期首差額」として表示されます。

このような仕様としている理由は以下のとおりです:

  • 経営管理データ処理では、前期残高と当期首残高が不連続になるのが正しいというケースがあります。たとえば、連結会計では、当期に新たに連結範囲に加わった会社 B/S 勘定の当期首残高は存在しますが、前期末残高はゼロです。この場合、前期末残高を修正すると確定済みの前期連結数値がその影響を受けてしまいます。そのため、前期末残高はゼロのままとしておき当期首残高のみ正しい値とすることが適切です。

なお、増減と残高の整合を確保したり、前期末残高と当期首残高を一致させたい場合は、そのための仕組みをフォームに組み込むことができます(フォームの「計算結果を元帳に反映」機能を使います)。

増減科目表

異なるバランス勘定に対して、以下の例のように、異なるメッシュで当期の増減内訳を把握したいことがあります:

機械設備・備品・車両運搬具

「取得」「除売却」「本勘定振替」「減価償却」

長期貸付金・短期貸付金

「貸付」「回収」「1 年基準組替」

このような要請に容易に対応できるよう、fusion_place では「増減科目表」という仕組みが用意されています。詳しくは、増減科目表の説明(下記リンク)をご参照ください。