ディメンションとは
ディメンションは、ユーザによって同一概念に属すると見なされる任意の要素の集まりです。ディメンションの要素を「メンバ」と呼びます。ディメンション内でメンバは ツリー構造 をかたちづくることがあります。
ディメンションの例 | メンバの例 |
---|---|
勘定科目 |
「売上高」「営業利益」「人員数」 |
部門 |
「営業本部」「大阪支店」「経理部」 |
ディメンションは、「 元帳 」における、データの切り口として用いられます。
システムディメンションとカスタムディメンション
ディメンションにはシステムディメンションとカスタムディメンションの2種類があります。
システムディメンション
システムディメンションは、すべての元帳で必須です。システムディメンションには、シナリオ・会計年度・相対期間・表示形式・勘定科目・増減科目が含まれます。これらは、それぞれ、あるいは相互に結びついて、経営管理データの管理に必要な機能を提供します。システムディメンションにはそれぞれ予め決められたラベルと名称が付されます。これらのディメンションを活用して 経営管理向きのデータ処理に不可欠な基本機能(フィナンシャル・アウェアネス) をプログラミングなしで実現できます。
システムディメンションは以下の6個です。
システムディメンション (下段:ラベル) |
内容 |
---|---|
相対期間 |
期間表 で定義された「相対期間」を、そのツリー構造とともに保持します。 |
表示形式 |
期間表 で定義された「表示形式」の一覧です。 |
シナリオ |
シナリオ の一覧です。 |
会計年度 |
会計年度 の一覧です。ディメンション内で会計年度はその順序どおりに並べられます。 |
勘定科目 |
勘定科目 を、そのツリー構造とともに保持します。勘定科目は元帳に保存されるデータの種類(データタイプ)や取扱方法を指定します。 |
増減科目 |
データタイプが「バランス値」と指定された勘定科目について、任意の期間における増減額の内訳を要因別に保持するために用います。 |
カスタムディメンション
システムディメンション以外にも、設計者は、必要に応じてディメンションを自由に作ることができます。設計者が作成したディメンションは、「カスタムディメンション」と呼ばれます。設計者は、元帳ごとに、個々のカスタムディメンションを使用するかしないかを、決めることができます。
カスタムディメンションには、アプリケーション内で一意なラベルと、任意の名称を付す必要があります。
カスタムディメンションには、以下の2種類があります:
- 「 一般 」ディメンション
-
メンバツリーに沿った集計という基本的な機能だけを提供します。
・「一般」ディメンションにおける仮想メンバ「#TOTAL」
( fusion_place >= 12.2 )「一般」ディメンションには、すべてのリーフメンバを子とする 仮想メンバ「#TOTAL」 が自動登録されます。
「#TOTAL」は、フォームやExcel-Linkシートで参照することで、すべてのリーフメンバの合計を容易に取得することができます。
項目 | 設定内容 |
---|---|
ラベル |
#TOTAL |
名称 |
(日)合計 (英)Total |
プロパティ:メンバタイプ |
システム予約 / RESERVED |
プロパティ:リーフ区分 |
リーフでない / FALSE |
プロパティ:使用区分 |
使用中 / TRUE ( fusion_place >= 13.0 ) |
「#TOTAL」は、ディメンション > メンバパネル上では表示されません。
基本的には、設計オブジェクト(フォームデザイナでのメンバ選択など)においては指定でき、管理オブジェクト(業務プロセス定義での追加キーなど)においては指定できません。
メンバの並び順は、メンバツリーパネル及び「ツリーに含まれないメンバ」パネルでの最初の出現位置順となります。
例えば、ディメンション(設計) > メンバリスト > 起点メンバの「メンバ選択」ボタンをクリックして表示される「メンバ選択画面」などで確認できます。
- 「 注記項目 」ディメンション
-
勘定科目ディメンションを補完して、ひとつの勘定科目に対して複数のデータタイプのデータを保持することができるようにするためディメンションです。ひとつの元帳で使用できる注記項目ディメンションはひとつに限られます。
カスタムディメンションを上記のいずれとするかは、ディメンションの新規作成時に指定する「ディメンションタイプ」によって指定します。
ディメンションタイプ
ディメンションには「タイプ」があります。タイプごとに固有の機能が付与され、制約が課されることもあります。システムディメンションはそれぞれ個別のタイプに属します。カスタムディメンションのタイプは、上述した「一般ディメンション」「注記項目ディメンション」いずれかです。
ディメンションメンバのメンテナンス
メンバのメンテナンス(追加・変更)の観点から言えば、ディメンションは以下の2タイプに分かれます。
(1)相対期間・表示形式・シナリオ・会計年度
この4つのディメンションのメンバやツリー構造は他の設定情報の内容を反映しています。そのため、もとになる設定情報が変更されたときに、その変更が自動的にこれらのディメンションに反映されます。
例えば、「相対期間」ディメンションは、「期間表」の内容を反映しています。期間表の内容を変更すると相対期間ディメンションの内容も変更されます。
したがってこれら4つのディメンションについては、設計者であれ管理者であれ、メンバやメンバツリーを追加・変更する必要はありません。
ディメンション | もとになる設定情報 | もとになる設定情報の メンテナンス責任者 |
---|---|---|
相対期間 |
設計者 |
|
表示形式 |
||
シナリオ |
||
会計年度 |
管理者 |
(2)勘定科目・増減科目およびカスタムディメンション
これらのディメンションのメンバやツリー構造は、設計者と管理者が分担してメンテナンスします。両者の責任分担については、 メンバタイプに関する説明 をご覧ください。
増減科目ディメンションでは、増減表の大枠を表す科目として、「期首残高」・「当期増減」・「期末残高」などがあらかじめ登録されています。このうち、「当期増減」の下位のメンバツリーを、設計者と管理者がメンテナンスします。
メンバの削除
いったんメンバを登録してディメンションを保存すると、そのメンバを削除することはできませんが、以下の方法を組み合わせて、実質的に削除した場合と同等の効果を得ることができます;
-
メンバの「使用区分/#ACTIVE」の値を「使用せず/FALSE」にする。これによって、当該メンバに対するデータ入力が禁止されます。
-
当該メンバをすべての メンバツリー から取り除く。これによって、帳票上、そのメンバを表示しないよう制御することができます。
-
当該メンバのラベルを変更する。これによって、そのラベルを再利用することができます。
メンバラベルの変更
勘定科目・増減科目あるいはカスタムディメンションのメンバに関しては、ラベルを変更することができます。ただし システム予約メンバ を除きます。
メンバラベルの変更は、画面上で個々のメンバを選択してひとつずつ行うこともできますが、 メンバのインポート機能を用いれば、多数のメンバのラベルを一括して変更することもできます(NEW_LABEL フィールドを使用)。
ラベルを変更した場合の影響は以下のようになります:
-
元帳のデータはラベル変更の影響を受けません。たとえばメンバのラベルを A1 から A2 に変更した場合、もともと A1 に結び付けられていた元帳データは A2 に引き継がれます。
-
他の設計オブジェクト・管理オブジェクトの設定において、変更前のメンバが参照されている場合、それらは旧メンバラベルを持つメンバを参照します。例えば、メンバ A1 のラベルを変更して A2 とし、さらに、旧ラベル A1 を別のメンバに付した場合、業務責任単位の責任範囲指定キーでメンバ A1 が指定されていたならば、それらはラベル A1 を新たに付されたメンバを指すものと解釈されます。 メンバリスト の起点メンバや、フォームのメンバ指定欄で指定したメンバについても同じように扱われます。