期間表

設計者 管理者

期間表について

システムディメンションのうち、「相対期間」ディメンションと「表示形式」ディメンションは、「期間表」という 設計オブジェクト から導出されます。ここでは、期間表の意味について説明します。

期間表とはなにか

「期間表」は、各アプリーションにひとつ存在します。期間表が表すのは、具体的な個々の期間、すなわち「2008 年度」とか、「2008 年 10 月度」ではなく、「期間のなりたちに関する規則」です。もっと具体的に言うと、「期間表」とは下図のようなツリーを表したものと言えます。

period structure

期間表には、以下の情報が含まれています。

  • 「期間単位」とその大小関係

  • 各期間単位に属する「相対期間」とその親子関係

  • 各期間単位に対応する「表示形式」

⚠ 実際にアプリケーションを構築する際には、これらの規則を白紙から設定するのではなく、あらかじめ用意されているいくつかのひな形期間表からひとつを選択した上で、必要なら相対期間の名称等を変更することになります。
用意されているひな形では対応できない場合(週別・日別等)、期間表を自分で定義して インポート することができます。

それぞれについて順に説明します。

期間単位

「期間単位」は、「年度」・「半期」・「四半期」・「月」などのように、経営管理に用いられる計数データを表示するにあたって使用する期間の長さの単位です。

fusion_place では、期間単位の間には必ず大小関係がなければならないという制約があります。上述した「年度」・「半期」・「四半期」・「月」はこの制約を満たしています。[1]

相対期間

「相対期間」はひとつの会計年度を細かく分けた単位です。「上期」、「第 3 四半期」「9 月」などが相対期間の例です。また、「年度」自体も相対期間です。相対期間を単に「期間」と呼ぶこともあります。

相対期間は必ずひとつの期間単位に属します。したがって、期間単位が4つあれば相対期間は 4 階層のツリーになります。最も小さな期間単位に属する相対期間を「最小期間」と呼ぶことがあります。

最小期間は一般的には「月」ですが、暦上の月と一致させる必要はありません。会社によっては月末日以外を決算日としていることがあります。例えば決算日が 20 日であれば、前月 21 日から当月 20 日までを「月」とすることができます。

最上位期間は「年度」ですが、これも暦上の年と一致させる必要はありません。

「決算修正月」など会計的な目的で用いられる特殊な相対期間(暦上の実際の期間と結びつかない相対期間)を設けた期間表もあります。

表示形式

フロー値を扱う際には、期間の範囲がいつからいつまでなのか明示することが必要です。期間の範囲を示すために「表示形式」が用いられます。以下では、12 月決算の会社を例にとってご説明します。

期間の範囲は、「7 月度から 8 月度まで」というように起点期間と終点期間を示して指定するのが一番単純なのですが、経営管理の実務では、その代わりに「8 月度、四半期累計」というように表現する方が一般的です。これは、8 月度の属する四半期(第 3 四半期)の最初の期間(7 月度)から 8 月度まで、という意味です。

同様に、「11 月度、四半期累計」と言えば 10 月度から 11 月度までのことです。「11 月度、半期累計」は、11 月度の属する半期の最初の期間である7 月度から 11 月度までという意味になります。

このような 「四半期累計」「半期累計」といった指定方法一般を、fusion_place では「表示形式」と呼んでいます。

表示形式は、「期間単位」と対応しています。たとえば期間単位として「年度」・「半期」・「四半期」・「月」があるなら、表示形式としては、「年度累計」「半期累計」「四半期累計」があります。「月次累計」は不要です。というのは、この場合「月」が最小の期間単位なので、月の最初から累計するのは無意味だからです。

特別な表示形式として「期別」というものがあります。「期別」とは「累計しない」ということです。例えば、第 4 四半期、期別」と言えば、第 4 四半期そのもの、すなわち「10 月から 12 月まで」ということになります。表示形式の指定と期間範囲の関係を以下に例示します。

第 4 四半期、期別

10 月から 12 月まで

第 4 四半期、四半期累計

10 月から 12 月まで

第 4 四半期、半期累計

7 月から 12 月まで

第 4 四半期、年度累計

1 月から 12 月まで

なお、ここで説明している意味での「累計」のことを、英語では「トゥ・デイト(to-date)」と呼ぶことがあります。例えば、年度累計は「イヤー・トゥ・デイト(Year-to-date)」です。これは「年度の最初から報告締日まで(From the beginning of fiscal year to the reporting date)」と考えればわかりやすいかもしれません。これをさらに略して “YTD” と書くことも一般的です。
fusion_place の期間表ひな形では、こうした略語を表示形式の ラベル としています。各表示形式の一般的な略語(=表示形式ラベル)は以下の通りです:

YTD

年度累計(Year-to-date)

HTD

半期累計(Half-year-to-date)

QTD

四半期累計(Quarter-to-date)

MTD

月次累計(Month-to-date)< ひな形では使用していません >

PER

期別(Periodical)

上でご説明したように表示形式と期間単位の間には対応関係がありますので、fusion_place では、表示形式のラベル(YTD, HTD …)は期間表に含めて定義されます。

表示形式ディメンションと相対期間ディメンション

期間表の内容は、表示形式ディメンション(#VIEW)と相対期間ディメンション(#PERIOD)に反映されます。

表示形式ディメンション

「期間表」に含まれる「表示形式」ひとつにつきひとつ、当ディメンションのメンバが自動生成されます。表示形式に親子関係はないのでツリー構造は生成されません(すべてのメンバがルートメンバとなります)。

メンバタイプはすべて「システム予約」となります。

相対期間ディメンション

「期間表」に含まれる「相対期間」ひとつにつきひとつ、当ディメンションのメンバが自動生成されます。またメンバのツリー構造も「期間表」での「相対期間」の階層構造に従って自動生成されます。

メンバタイプはすべて「システム予約」となります。


1. 経営管理アプリケーションでこの制約が実務上支障となることはまず考えられませんが、制約違反の例をあえてあげてみましょう。例えば、4 ヶ月をまとめて「三半期」という単位で業績を管理したいとします。「三半期」と「四半期」は大小関係がないので、「三半期」を登録するなら「四半期」は登録できないということになります。