機能

[Excel-Link] は、Microsoft Excel から fusion_place のデータにアクセスするためのツールです。

[Excel-Link] には、「リンク機能」・「テンプレート処理機能」と、「ピボット検索機能」があります。いずれの機能を用いる場合でも元帳データへのアクセスに際しては、元帳アクセスコントロールが適用されます。

リンク機能

ユーザがデザインしたレイアウトの Excel シート上に、任意の数の「リンク領域(シート上の矩形のセル範囲)」を設け、そのリンク領域に対して以下の機能を適用することができます:

  1. fusion_place の元帳データを取得して、リンク領域の各セルに表示。

  2. リンク領域の各セルのデータを、fusion_place の元帳に反映。

  3. fusion_place の ディメンションメンバの名称、プロパティ値などを、リンク領域に表示。

元帳データの取得/反映(上記 1, 2)に際しては、リンク領域ごとに、以下のような処理条件を指定することができます(詳細はデータ領域に関する設定項目の説明をご覧ください)。

  • 取得/反映両方行うか、あるいは、取得・反映それぞれのみか。

  • 金額の表示単位(元帳上では円単位でデータを保持し、Excel 上では千円単位で表示/入力するなど)。

  • 表示単位の変換に伴う端数処理の方法と有効小数桁数。

  • 金額の符号表示の方法(科目属性に応じて表示、常に借方+、常に貸方+のいずれか)。

  • 元帳セルの入力可不可に応じて、セルのロック属性を自動切り替えするか。

  • 書き込み先の元帳セルがクローズされているとき、エラーメッセージを表示すること。

ひとつのシート上に、複数の「リンク領域」を設けることも可能です。例えば、あるリンク領域で取得した元帳データをもとに、Excel の計算式を用いて算出した値を、別のリンク領域から、fusion_place の元帳に書き込むといったことができます。

テンプレート処理機能

テンプレート処理機能は、リンク機能の拡張版です。リンク機能では、個々の列・行に対して、キーとして用いるメンバラベルを指定する必要がありますが、テンプレート処理機能では、行キーとしたいメンバラベルの並びをメンバリストとして指定し、行を自動作成することができます(列方向の自動生成には対応していません)。複数のディメンションのメンバの組み合わせを行キーとすることもできます。

テンプレート処理機能を用いると、可変行数の帳票を簡単に作成することができます。また、領域リンク機能と同様、データの表示だけでなく更新も可能ですので、例えば以下のような処理を簡単に実現することができます。

  • 店舗と商品部門(売り場)の組み合わせごとに、客単価と客数の実績をそれぞれ予算と対比し、売上高の予算実績差異を、客単価差異と客数差異に分析する。さらに、両差異データを fusion_place の元帳に反映して、さまざまな帳票で表示可能とする。

  • すべての部門の人員数に対して予定人件費単価を掛けて予算人件費を算出し、fusion_place の元帳に反映する。

  • 海外の子会社の外貨ベースの売上・費用に、各子会社の通貨によって決まる換算用為替レートを乗じて、外貨換算を行う。

テンプレート処理機能は、ひとつの処理単位(たとえば、店舗と商品部門の組み合わせひとつ)について、Excel シート上で計算モデルを定義しておいて、その計算モデルをすべての処理単位に適用するものです。計算モデルは Excel 上で定義できるので、算出過程も含めて可視化できます。また、ひとつのモデルがすべての処理単位に適用されるので、Excel シート上に膨大な計算式を記述する必要がなく、メンテナンス上の問題も解決することができます。 処理単位はひとつのディメンションのメンバリストにふくまれるメンバ、あるいは複数のディメンションのメンバリストからとられたメンバの組み合わせによって指定されます。

ワークシートの「シート処理要領」で「テンプレート処理用設定項目」を設定することにより、シートはテンプレート処理対象となります。テンプレート処理用設定項目には、テンプレート処理を一時的に抑制するための「テンプレート処理を抑制」チェックボックスも含まれています。これを ON にするとそのシートに対しては、通常の「リンク機能」対象シートとなります。

ピボット検索機能

条件を指定して、fusion_place の元帳データを Excel シートに取り込み、ピボットテーブルとして表示することができます。ピボット検索機能では、fusion_place の元帳データを更新することはできません。

特長

リンク機能

他の多くのスプレッドシート連携ツールと比較した場合、[Excel-Link] の「リンク機能」には以下のような特長があります。

  • 双方向のデータ連携: リンク機能は双方向に使えます。すなわち、fusion_place の元帳から Excel のシート上にデータを取得するだけではなく、シート上のデータを fusion_place の元帳に反映することも可能です。

  • マクロ不要の Pull 方式: リンク機能では、Excel シートの各セルと fusion_place の元帳セルを、直接的に結びつけることができます(Pull 方式のスプレッドシート連携」もご参照下さい)。これによって、マクロの必要性を減らし、シートのメンテナンス性を高めることができます。

当機能 は、様々な形で業務に活用することができます。

  • データ入力シートとして: 使いやすいデータ入力シートを Excel で作って配布し、現場ユーザに入力して頂くことができます。入力されたデータを fusion_place 元帳に反映すれば、関係者で共有できます。また別の Excel シートにデータを取り出して分析するのも簡単です。

  • 報告書の作成: 月次報告資料など、Excel で作成している資料について、レイアウトはそのままに、[Excel-Link] の設定情報を追加するだけで、fusion_place のデータを流し込めます。手数のかかるデータ転記作業を排除でき、転記ミスが無くなります。また複雑な式(他シート参照など)を減らすことができ、式の誤りも減らせます。

  • 計算処理への活用: fusion_place から Excel にデータを取り出して計算処理を行い、その結果を fusion_place に書き戻すことができます。この方法を用いれば、配賦など複雑な計算は使い慣れた Excel にまかせ、その結果を fusion_place のデータベースで共有することができます。

ピボット検索機能

[Excel-Link] の「ピボット検索機能」には、以下のような特長があります。

  • スライス&ダイス : ピボット検索機能は、多くの BI ツールが提供している「スライス&ダイス」機能の fusion_place 版です。好きな切り口で簡単に多次元データを表示できるので、業務の様々な場面で必要とされる、その場かぎりの分析に好適です。

  • 分析結果の共有 : ピボット検索機能では、検索条件を指定して該当する元帳データを一括して Excel シートに取り込み、その後、Excel のピボットテーブル機能で分析を行います。従って、作成されたピボットテーブルは、通常の Excel ファイルとして保存可能です。そのファイルを他のユーザに送付すれば、簡単に分析結果を共有することができます。

  • 検索条件の再利用 :類似の検索条件で頻繁にピボット検索を行いたい場合には、検索条件をファイルに保存しておき、必要な時に読みこんで再利用することができます。

使用方法

[Excel-Link] は、Microsoft Excel のアドイン(XLA ファイル)です。アドインファイルを Microsoft Excel に組み込むことにより使用可能になります。

フォームとの使い分け

フォームと [Excel-Link] の適用領域は一部重なっています。文書「[Excel-Link] とフォーム、どちらを使うか」もご参考にして、お使い分けください。

タイムアウトについて

サーバー側処理のタイムアウト

[Excel-Link] のサーバー側のすべての処理に対して、それぞれの計算処理が実行タイムアウト時間(デフォルト: 600 秒)を超えると、エラーが発生します。

クライアント側処理のタイムアウト

[Excel-Link] のクライアント側処理では、データを取得してセル範囲に貼り付ける都度、Excel の再計算処理が実行されます。この場合、再計算の終了を待って次の処理に進む必要がありますが、Excel の実際の動作では、長く待っても、再計算が完了したというステータスにならない場合があります。このため、[Excel-Link] では、デフォルトで 20 秒待って、それでも再計算が終了しない場合には、「Excel の再計算が著しく遅くなっており、処理できません。」というメッセージを表示した上で、処理をキャンセルしています。この待ち時間(20 秒)は、クライアント側ログファイルと同じフォルダに置かれた設定ファイル「excel-link.ini」に記述を追加することで、変更可能です。

< excel-link.ini ファイルの記述例 >

  [EXCEL_LINK]
  Locale=…
  LicenseReminderDisabled=…
  URL=…
  CommandRecordingEnabled=…
  CalculationTimeoutBySecond=60

上記記述例のように、[Excel-Link] のあとのいずれかの行に、CalculationTimeoutBySecond=(秒数) という形式で、待ち時間の秒数を指定することで、デフォルトの待ち時間を変更できます。他の行には、画面から設定された値などが記述されているため、変更しないで下さい。