フィナンシャル・アウェアネス

設計者

経営管理のためのデータは、財務会計システムから取得されるとは限りませんが、それでも、多くの場合、財務的な性格を持っています。財務的データの取り扱いには、特有の注意が必要です:

  • バランスとフロー : 財務的データには、バランス(「時点」で決まるデータ)とフロー(「期間」で決まるデータ)の区別があります。バランスデータとフローデータは、表示の際に異なった取扱いを要します。たとえば、四半期報告書では、「売上高」(フロー)については 3 ヶ月間の月別値を合算した値を表示しますが、「在庫」(バランス)については、四半期の最後の月の月末残高を表示する必要があります。

  • フロー値の表示形式 : フロー値に関しては、単月・四半期累計・半期累計・年度累計というように複数の表示形式(累計の仕方)を使い分けて表示する必要があります。8 月度の数値といっても、単月値と四半期累計値では計算式が異なります。また、単月値を変更すればそれにあわせて四半期累計値・半期累計値も変更しなければなりません(単月値以外を変更した場合も同様に、他の表示形式での値を変更しなければなりません)。

  • 借方と貸方(収益と費用、資産と負債・資本) : 財務的データを表示する場合、科目の借方・貸方を考慮して符号を切り替える必要があります。例えば、売上高は貸方をプラスに表示し、売上原価は借方をプラス表示します。両者の差引きで計算される売上粗利益は貸方プラス表示です。

  • バランス項目に関する増減の把握と、残高との整合確保 : バランス項目について、前期からの増減の内訳を把握したいことがあります。例えば、固定資産の増減額を、投資額・売廃却額・減価償却額に分けて把握したい、といった場合です。こうしたニーズは特にキャッシュフローの管理に関連して発生します。また、増減内訳を把握するだけでなく、期首・期末の残高の整合を確保するために、増減と残高の齟齬を把握・表示する必要があります。

スプレッドシートだけで経営管理データ処理を行なうならば、ここでご説明したような計算を行なう式を、スプレッドシートにいちいち組み込まなければなりません。ひとつひとつの式はたいしたものでなくとも、こうした式がいたるところに散りばめられるにつれ、シートが複雑化しメンテナンスが次第に難しくなっていきます。

fusion_place は、財務的データに対するこういった基礎的な計算処理を、スプレッドシートに代わって担います。この機能を「フィナンシャル・アウェアネス」と呼んでいます。