元帳データの版管理

設計者 管理者

元帳データは、「版」に分けて管理されます。どのアプリケーションにも必ず存在する「公開版」と「共有作業版」に加えて、管理者は任意の版を作成することができます。ユーザ(管理者)は、さらに既存の版から派生した任意の版を作成することができます。

「公開版」と「共有作業版」

「公開版」と「共有作業版」はどのアプリケーションにも必ず存在します。

元帳のデータを修正したい時には、公開版に影響を与えず共有作業版上で作業を進めることができます。公開版は参照専用です。共有作業版上で作業を完了すれば、内容を「公開」し公開版に反映することができます。

公開版と共有作業版を使うことにより、データの修正業務と利用業務をうまく分離して干渉を最小限に抑えながら、並行して作業を進めることができます。

公開版と共有作業版にはそれぞれ「PUBLIC」と「WORKSPACE」という元帳版キーが自動的に割り当てられます(元帳版キーは、ユーザが版を識別できるよう用意されたコードです)。

共有作業版データの公開

修正作業が完了すれば、共有作業版のデータを 公開 することができます。「公開」によって、公開版の内容はその時点の共有作業版の内容で置換されます。公開処理は、シナリオを単位として実行できます(複数のシナリオをまとめて公開することも可能です)。

共有作業版データのクリア

修正作業をやり直したいときには、共有作業版データを クリア することもできます。「クリア」すると、「公開」の場合とはまったく逆に、共有作業版の内容はその時点の公開版の内容で完全に置換されます。

元帳版キー

版には「元帳版キー」を割り当てることができます。元帳版キーは版を指定するためのコードです。200 文字以内で、 ラベル に使用できる文字を用いることができます。

元帳版キーは、複数の部分キーをピリオドで繋いだものです。例えば、以下が元帳版キーの例です:

A

FY2018.BUDGETING.20180220

なお、ピリオドで区切られた部分キー自体にピリオドを含めるには、以下のようにその部分キーをシングルクォートで囲みます:

FY2018.'BUDGEING.02'.20180220

ピリオドを含まない部分キーはシングルクォートで囲っても囲まなくとも、同じ値と見なされます。例えば、以下の2つは文字列表現としては異なりますが、同じ元帳版キーです:

FY2018.BUDGETING.20180220

FY2018.'BUDGETING'.20180220

元帳版キーが保存されるとき、不要なシングルクォートは削除されます。上記の例では、いずれの元帳版キーも、「FY2015.BUDGETING.20150220」として保存されます。

予約された元帳版キー

ラベルの場合と同様、シャープ記号で始まる元帳版キーは 予約 されているため、管理者が割り当てることはできません。なお、公開版と共有作業版には元帳版キー「PUBLIC」と「WORKSPACE」があらかじめ割り当てられています。これらはシャープ記号で始まりませんが、やはり 予約 されており、管理者が自由に割り当てることはできません。

元帳版キーは、 [ブラウザ][Excel-Link] で元帳のデータにアクセスする際に、対象元帳版を指定するために用いられます。

予約されていない元帳版キーは消去あるいは変更することができます。元帳版のキーを消去した場合、その元帳版は、 [ブラウザ][Excel-Link] からアクセスできなくなるので注意して下さい(キーを再度割り当てるとアクセス可能になります)。

ある元帳版の元帳版キーを消去し、別の元帳版に割り当てた場合、以降、 [ブラウザ][Excel-Link] でその元帳版キーを指定してアクセスすると、新しくそのキーを割り当てられた側の元帳版がアクセスされます。

元帳版に対するアクセス制御

アクセス許可タイプを用いて、元帳版に対するアクセス制御が可能です。例えば共有作業版を参照あるいは更新できる業務責任単位を限定することが可能です。詳しくは テキスト式における「元帳版群」および「元帳版」の説明 をご覧ください。

また、業務プロセス管理機能を使用する場合、下に説明するように、業務プロセスに参加する業務責任単位ごとに元帳版が生成されますが、そうした版に対して、それを「所有」する業務責任単位のみアクセスを許すといった制御も可能です。 業務プロセスにて使用される元帳版とアクセス制御 をご覧ください。

業務プロセスの元帳版

業務プロセス管理機能 を使用する場合、業務プロセス固有の元帳版が作成されます。業務プロセスの元帳版には、以下の二種類があり、それぞれ、決められた形式の元帳版キーが割り当てられます:

業務プロセスの元帳版の種類 説明 元帳版キーの形式

業務プロセスのルート版

各業務プロセスにひとつ作成されます。業務プロセス生成時(あるいはその後の「共有作業版のデータ取り込み」実行時)の共有作業版の内容そのものです。

接頭辞「#P」と業務プロセス定義ラベル・会計年度ラベル・相対期間ラベルをピリオドで繋いだ形式。

例) #P.BUDGETING.FY2014.H1

各業務責任単位のワークスペース版

業務プロセスごと、かつ、その業務プロセスに参加する業務責任単位ごとにひとつ作成されます。データ内容の初期値は業務プロセスのルート版と同じですが、その後、各業務責任単位が入力するデータで更新されていきます。

ひとつの業務責任単位(例えば A 部門)でも、業務プロセスごと(例えば、2014 年度上期予算編成と 2014 年 5 月度実績処理)に異なるワークスペース版を持つので注意して下さい。

※ 業務プロセスの 公開データ確定担当業務責任単位 は、上記に係わらず、「共有作業版/WORKSPACE」を自らのワークスペースとして使用することができます。詳しくは 業務プロセス定義の項 に説明があります。

上述の業務プロセスのルート版の元帳版のキーの末尾に、さらに、ピリオドを区切り文字として業務責任単位のラベルを繋いだ形式。

例) #P.BUDGETING.FY2014.H1.A

業務プロセスの元帳版は、ユーザが直接、登録・削除することはできません。業務プロセスの生成・削除に伴い、自動的に登録・削除されます。

一般の元帳版

上記以外にも、管理者は任意の元帳版を作成することができます。版は既存の版から派生させることにより作成できます。派生元の版は、公開版と共有作業版に限られず、既存の任意の版を派生元とすることができます。

「公開版」と「共有作業版」を含め、すべての元帳版は、派生関係によって形作られたツリー構造をなしています。

各版の内容は、作成直後には派生元の版とまったく同じです。データベース上およびメモリ上で、各版には派生元からの差分データのみが格納される仕様となっているため、版の作成処理は非常に高速に行われます。派生元の版に多量のデータが含まれていたとしても、それがコピーされるわけではないからです。

「一般の元帳版」の用途

「その他の版」の用途は様々に考えられますが、ここでは例を2つご紹介します:

(1)複数パターンの予算値の保持

予算編成時に、基本案の予算値に若干の修正を加えた案を複数作成したい場合があるかもしれません。こうした場合には、基本案のデータを共有作業版か公開版に保持しておき、そこから複数の版を派生させて、それらの版上で修正を加えることができます。

(2)計算基準変更時の過去遡及修正

管理計算に関する基準、たとえば共通費の配賦計算基準を変更した場合、過去に遡って変更後の基準で処理をやり直す必要があるかもしれません。とはいえ、計算をやり直すにしても、以前の基準で計算した数値はそのまま残しておきたい場合が多いでしょう。

こうした場合には、基準変更前のデータを保持する版(公開版か共有作業版)から派生して新たな版を作成します(版 A とします)。この版 A には古い基準で処理されたデータが保持されています。

一方、共有作業版上では、過去に遡って変更後の基準で処理をやり直し、そのデータを公開します。

先に派生させた版 A には遡及処理は反映されず、以前の基準で処理されたデータがいつでも参照可能な状態で残ります。

派生元版のデータ更新制限

他の版の派生元となっている元帳版のデータは参照専用となります(データ書き込みはできません)。このような制限を設けている理由は、その版のデータを更新すると、その版を派生元とするすべての版のデータに、意図しない影響を与えてしまうからです(派生先には派生元からの差分データのみ保持しているので、派生元のデータを更新すると、ユーザの目からは、派生先のデータも更新されることになります)。 他の版の派生元となっている元帳版のデータを更新したい場合には、その版を派生元として新たな版を作成し、そのデータを更新して下さい。

「その他の版」の公開

共有作業版とまったく同様に、「その他の版」の内容を公開する(公開版に反映する)ことができます。公開対象シナリオを指定できる点も同様です。共有作業版以外の版を公開した場合、公開対象シナリオに関しては、共有作業版の内容がクリアされ、公開後の公開版の内容(=公開した版の内容)と同じになるのでご注意ください。

版系列の圧縮

版の派生を繰り返すと、版のツリーが次第に大きくなり、また、不要な版も増えてきます。こうした場合、不要となった版の元帳キーを消去したうえで 版系列を圧縮 することにより、版の系列(ツリー)を圧縮することができます。以下の2条件を満たす版は、版系列の圧縮によって削除されます:

  • 元帳版キーを割り当てられていないこと(いったんは割り当てられた元帳版キーを消去済の場合を含む)、かつ、

  • 元帳版のツリー上で分岐点となっていないこと(すなわち、直接の派生版を複数持たないこと)

圧縮により削除された版のデータは、圧縮前時点で、その版から直接派生した版が存在していた場合、その派生版のデータに統合されます(派生版が存在しなければ削除されます)。

提出パッケージの元帳版

「提出パッケージの元帳版」は、 ワークフロータイプ のアプリケーションでのみ、利用できます。

業務プロセス管理機能にて生成される「提出パッケージ」は、疑似的に元帳版として扱われ、元帳版キーが割り当てられます。[Excel-Link] のリンク領域設定時に、この元帳版キーを保持するセルを指定することにより、提出パッケージの内容を照会することができます。

提出パッケージの元帳版キー

提出パッケージの元帳キーは、接頭辞「#P」と、業務プロセス定義ラベル・会計年度ラベル・相対期間ラベル・業務責任単位ラベル・提出パッケージ定義ラベル・提出順連番、をピリオドで繋いだ形式です。

例) #P.BUDGETING.FY2018.H1.A.SALES.2

「BUDGETING」

業務プロセス定義ラベル

「FY2018」

会計年度ラベル

「H1」

相対期間ラベル

「A」

業務責任単位ラベル

「SALES」

提出パッケージ定義ラベル

「2」

提出順連番(この例は、2回目の提出パッケージであることを示している)

提出パッケージの元帳版を利用できるクライアント

提出パッケージの元帳版は、[Excel-Link] でのみ照会可能です。fusion_place [ブラウザ] では照会できません(元帳版の選択項目に表示されません)。

提出パッケージの元帳版固有のアクセスコントロール

提出パッケージの元帳版は参照専用です。さらに、提出パッケージの元帳版のデータを参照できるのは、その提出パッケージを提出した業務責任単位と、そのパッケージを受付けた、あるいは受付可能な業務責任単位のみです。それ以外は、 通常の元帳アクセスコントロール に従います。

提出パッケージの元帳版に含まれるデータについての留意事項

提出パッケージの元帳版には、提出されたデータのみが含まれます(※)。

提出されたデータをもとにディメンションでの集計計算を行えば導けるデータであっても、それ自体が提出されたデータに含まれなければ提出パッケージの元帳版には含まれないので注意して下さい。例えば、勘定科目ディメンションのメンバツリーにて経費の各科目が経費合計の子メンバとして登録されているなら、経費合計は経費の各科目の金額から導出可能です。しかし、提出パッケージのフォームに経費各科目のみが含まれ、経費合計が含まれないならば、経費合計は提出パッケージの元帳版には含まれないということです。なお、フォームの設定にて非表示とされた行・列については、ここでの判定上は、表示されているものと見なします。したがってそのデータは提出パッケージに含まれます。

※ 提出されたデータとは、提出パッケージのフォーム上に表示されているデータのキー各々について、相対期間と表示形式以外のキーをとって、全相対期間と全表示形式を組み合わせてできるキーに対するデータです。例えば提出されたデータに「6 月度単月の売上高」が含まれているならば、同じ年度の「5 月度累計売上高」も含まれています。